911-997

こんにちは。

今回は初施工となるポルシェ911(997型)のご紹介です。

といっても997の幌は996後期のガラス幌とほぼ同じものです。

996後期は以前にもご紹介しましたが、一番の難関はやはりガラスの移植でしょう。

 

大部分のガラス幌はガラスも製品に組み込まれた状態で届きますが、

996/997の場合はガラスの枠周りが内装と関係してくる複雑な作りとなっておりまして、

とても社外品で作れるような構造ではありません。

というわけで、純正のガラスを外して、新しい幌に丸ごと移植します。

 

それではレッツスタート。

まずはポジショニングリングという金属の枠に幌を巻き込んで接着していきます。

カーブは特にご用心。

切れ込みを入れてシワが入らないように貼っていきます。

 

接着後は押さえが肝心。

一気に全周やろうとすると貼る前に接着剤が乾いてしまいますので、

分割して少しずつ貼り付けていきます。

この作業は忙しいときには決してやってはいけません。

焦りは失敗のもと。

土曜の昼下がりあたり、特にその後の予定も無いときにのんびりやりましょう。

まぁ私は曜日に関係なくだいたい仕事ですが・・

 

全周貼り終わるとこんな感じ。

とりあえず窓の形が出来上がりました。

 

こちらが移植するガラス。

ゴム枠には雨漏り防止のエプトシーラーを貼りました。

 

部品番号は996から始まっています。

つまり996との共通部品。

ポルシェの部品は型式がそのまま部品番号になっているので分かりやすいですね。

この3桁区切りの部品番号、プジョーなんかも同じなのですが、

電話口などでも伝えやすく、なかなかいいんです。

10桁くらいの数字とアルファベットが混ざったような品番だと、

あれ?どこまで読んだっけ?みたいになってしまい、ミスを誘発しやすいです。

間違えの元をなくす、これも一種のユニバーサルデザインといえるでしょう。

 

ガラスを幌の上に置きまして、その上に内枠を重ねます。

外枠はポジショニングリングのことです。

 

ガラスと枠を重ね合わせたら、このクリップで枠の外周を挟みこんで固定してきます。

 

 

こんな感じです。

数えてませんがだいたい30個くらいはあったと思います。

メッチャクチャ固くてグリグリ押し込んでいく感じなのでどうしても枠にはスリ傷が付きますが、

完全に隠れてしまいますし、雨に塗れるところでもないので心配ご無用です。

純正状態でも結構傷がついていますよ。

 

ちなみにこのクリップ、普通に手で付けようと思っても絶対に付きません。

ペンチなどを使っても無駄です。

ポルシェの工場では専用の特殊工具(SST)があるのでしょうが、

当然そんなもの持っているわけも手に入るわけも無く・・・ですから知恵と工夫で勝負です。

私は数時間悩んだ末編み出した必殺技で簡単に付けらるようになりました。

工具とハサミは使いようです。

 

はい、無事全部留め終えました。

 

カーブも綺麗に仕上がりました。

枠も縫い目も無いのですっきりしていていいですね。

あとは996と同じ手順で付けていけば完成です。

 

はい、出来上がり。

元はブラウンの幌でしたが、GermanA5のボルドー生地に張替えました。

 

幌に合わせて、バンパーやミラーに同色の差し色が入っています。

ディーラーさんも幌がどんな感じに仕上がるか楽しみにしているとか。

はい、餅は餅屋にお任せくださいませ。

といっても私なんぞは出来合いのものを調整してくっつけているだけです。

本物の幌屋さん・内装屋さんは自分で測って型を起こして作ってしまうのですから本当にすごいです。

 

ちなみに、地面にレンガを敷きました。

ちょっとヨーロピアンな感じになって満足です。

特別ヨーロピアーンが好きなわけではありませんが。

 

シワなく均一に仕上がりました。

 

 

ガラス周りも綺麗に出来て満足。

 

 アラが目立ちやすい逆光でも大丈夫。

リアには911としか書いてありませんが、カレラ4です。

よりワイド化されたリアフェンダーがその証。

 

ちなみにオーナーさんは新車から乗られております。

新車だと非っ常ーにお高いです。

でもオーナーさんはお金持ちを鼻にかける訳でもなく実に気さくでいい感じ。

やっぱり車はオモチャのように素直に楽しめなければいけないなと感じました。

 

というわけで私には今のところロードスターが気楽に楽しめる限界。

現金一括で買えて、事故で全損しても金銭的にはさほど気にならず、車検整備もお任せでお願い出来る。

これが我が家の車購入基準です。

その結果、古い車ばかり。笑