縦目
こんにちは。
今回は初登場車種、メルセデスの2代目SLクラス、
280SL(W113型)のご紹介です。
オーナーさん、預かりが長くなってしまいすみません。
薄茶色のボディにブラウンの幌。
元々この組み合わせでしたが、
幌が硬化して日常使用に耐えうる状態ではなかったので新品に張り替えました。
縦長の目がW113の特徴。
1969年式ですが、この時代ですでに4速ATとなっております。
参考までに、同じ年代のトヨタ・クラウンなどは2速もしくは3速ATでした。
ちなみに、現在のメルセデスの主力ATである7G-TRONICは、
前進7段に加え、後退も2段となっているのが特徴です。
標準モードとも言えるコンフォートモードの場合、前進2~7速、後退は2速しか使用しません。
スポーツモードにしたときのみ前進/後退とも1速を使用するという、少々贅沢な仕様。
複雑な曲線を持った初代SLと比べると非常にスッキリしたデザインとなっています。
メッキパーツの一つ一つがとても凝っていて素敵です。
ところで、なんでこの時代のバンパーってメッキなんでしょう?
ぶつけたら補修も難しいし、かなり硬いので衝撃吸収効果もあまり期待できなさそうです。
曲がったら部品ごと替えちゃえ、的な感じでしょうか?
まぁ、カッコイイし良しとしときましょう。
最初は「これ、どうすんの・・・?」と絶望するくらい大きなシワが入っていましたが、
調整に調整を重ね、無事きれいに張ることが出来ました。
数時間かけて接着剤で固定し、閉じてみて、それで駄目なら・・・一からやり直し!
頑張ったのに全部リセットー!!!
実に気が滅入る作業ではありますが、頑張った甲斐がありました。
なお、これくらいの年式(1969年製)になりますと、
骨組などボロボロに錆びているパターンが多いのですが・・・・
さすがはメルセデス、見ての通りピッカピカです。
他の同世代車種と比較すると、異常なまでのクオリティ。
まず素材が違います。
この時代のオープンカーだと鉄パイプを曲げて作ったような骨が普通なのですが、
メルセデスの場合、全て鋳物製となっております。
削って調整したような形跡があるのがわかりますでしょうか?
鋳物なので当然中までギッシリ金属が詰まっています。
これなら多少錆びても大丈夫!と安心するところですが、
それをさらに高品質なメッキで覆っているのです。
低品質なメッキですと文字通り「メッキが剥がれて」悲惨なことになってしまいますが、
こちらは45年の月日を経てまだなおピッカピカの状態を保っております。
まぁ車が車だけに屋外に放置されるようなことは少ないので一概には言えませんが、
「Das Beste oder nichts(最善か、無か)」を地で行く徹底的な高品質には驚かされるばかりです。
ただ、こちらの車両、預かった時点ではさすがに少々ガタが来ていて、
幌を動かすたびにバッキンゴッキンと壊れそうな音を発していました。
ですが、矢印の部分にグリスを塗ることで驚くほどスムーズになりました。
同様の異音でお悩みの方は是非試してみてください。
まぁ、W113のオーナー自体、それほど多くはないと思いますが。。。
W113の張替えは、幌生地の種類にもよりますが15万くらいから対応可能です。
お気軽にお問い合わせください。
それでは、また。