おかるさん
こんにちは。
今回はメルセデスベンツ・CLKカブリオレ(A208)の御紹介。
丸目4灯のEクラスと同じ、この顔の型です。
幌の開発は店長の大好きなカルマン社。
世代的にはアウディA4カブの一つ前になり、全体的には似たような構造ですが、
アウディA4ほどの洗練度には達しておらず、20%OFFくらいな印象。
それでもさすがカルマン社、非常によく出来ておりますが。
前回の日記でちらっとお伝えしましたとおり、こちらの幌はガラス移植が必要で、結構手間がかかります。
また、ガラス移植以外にも色々不具合がありましたので、そちらも修正。
まず、リアガラス周りのトリムが外れてバッキバキに割れて、
しかもブチルやら何やらでベタベタにくっつけてあったので修正しておきました。
割れてしまっている以上完璧に元通りとはいきませんが、見苦しくない程度には直せたと思います。
写真は撮り忘れました。
ロックレバーも全体が外れて宙ぶらりんになっていたので直しておきました。
これがまたへんちくりんな構造でして、
ボルトやネジで止めるのではなく、金属のリングを嵌めこんで止めてあるだけ、
そりゃ引っ張りゃ取れるだろうという構造。
写真の頭についているリングがそうです。
このままではまた嵌めこんだところでちょっと引っ張れば取れてしまいます。
ちなみに、下に敷いてあるのは外した古い幌です。
これから張る新しい幌の上でこんなことはしませんのでご安心を。
で、色々試した結果・・・
何をしているかというと、ペーパータオルを噛ませた状態でリングを打ち込んでみました。
紙なんぞで?と思うかもしれませんが、元々わずかしかない隙間にタオルの繊維が挟まることで、
非常にガッチリ固定されることが確認できました。
まさに紙一重(ドヤァ)
いや、ホントすごいですよ、思いっきり引っ張ってもびくともしない。
ハンマーでガンガンぶっ叩いてようやく外れるレベルです。
木の樽を作る職人さんがこういうことをしているのを以前見たので、ちょっと真似してみました。
追伸
その後結局外れてしまったのでよく調べたところ、
「はめ合い」という、文字通り金属をはめ込んで接着剤でくっつける、という手法なのだそうです。
それ専用の接着剤があるのでそれで再度補修しました。(ロックタイト 638)
寸法精度が低くても接着剤で簡単結合、という新しい手法らしいのですが、
しょせんケミカルなので経年劣化で取れてしまう模様。
なんだかなぁ、という感じです。
ガラスはアルミのフレームで幌に固定されているので外して移植します。
やり方は・・・内緒。
ちょっと特殊ですが、なかなか合理的な方法です。
で、出来上がり。
少々微調整に手間がかかりましたが、綺麗に張れたと思います。
リアガラス周りもバッチリ。
窓の位置はマーキングがしてあるので、それに合わせるだけでだいたい上手くいきます。
ゴム枠が奥まったところにあり、ガラスが浮いて見えるスタイリッシュな構造。
この後の世代では「さらにスッキリさせよう!」と張り切ってガラスを幌布に接着した結果・・・・
アウディA4、ニュービートルなどのように、みんなガラスが剥がれてしまう羽目に。
堅実な方法を発見したところでやめとけばいいのに、
果敢に新技術にチャレンジし、そして散っていくカルマン社。
そんな社風が祟ったのかどうか知りませんが、2009年に破産してしまいました。
その後、色々あってコンバーチブル部門はヴァルメト・オートモーティブという会社に吸収されたようです。
ヴァルメト社はサーブのカブリオレやボクスターの製造もしていたそうで、
カルマン社の超合理的なオープンカー製造技術が継承されていくのかどうか、注目されるところです。
まぁ、こんなにカルマン社を気にかけているのは私くらいなものでしょうけども。
それでは、また。