解体新書

こんばんは。

 

前回はMR-Sをまとめて御紹介しましたが、

今回はより掘り下げて、MR-Sの雨漏りについて考察してまいりたいと思います。

 

今回のお車ではオーナーさんより「助手席下に水が溜まる」と聞いていたので、

幌交換ついでに雨漏りの原因を探ってみました。

 

見える範囲ではどこからも漏れている様子がないのにいつのまにか水が溜まる、とのことでしたので、

「ああ、もしかして」と思いリア収納部の底を外してみると・・・・

 

Oh・・・・・

やはり収納下のパネル内に水が溜まっております。

ちなみに、かろうじて水没を免れているのはシーケンシャルMT用のコントロールユニット。

上部にビニルでカバーがしてあったり、上げ底にしてあったりと、

最初から水が浸入することを見越した作りになっております。

 

今回は上げ底用の足元ちょい上で水が止まっていたので、幸いコントロールユニットは無傷で無事でした。

走行中に多少はチャッポンチャッポンしたかもしれませんが。

 

なぜこれ以上水位が上がらなかったかというと・・・・

シートベルトの巻き取り器の後ろのほうにパネルの継ぎ目がありまして、

溜まった水はその隙間から助手席フロア方向へと流れていきます。

隙間の下半分くらいはシーリングで埋めてあり、シーリング部を超えた水だけが流れていくのですが、

今回はシーリングが比較的下のほうで止まっていたのであまり水位が上昇せず、

結果としてコントロールユニットは水没せずに済んだのです。

 

このシーリングは結構適当でして、高いときもあれば低いときもある。

運悪くシーリングの位置が高かった場合、コントロールユニットは完全に水没してしまいます。

以前作業させていただいた別の車両で「ギア抜けやシフトミスが多い」という症状があったのですが、

その時はこのコントロールユニットがほとんど水没した状態でした。

それにも関わらず一応動いていたのは、ある意味感心しましたが。

 

で、水が入るのを見越してカバーまで掛けてあるのに、排水口は設けてないのか?

と思われるかもしれませんが、安心してください、付いてますよ。

コントロールユニットの後ろの、この黒いゴムキャップが排水口です。

ですが、あまりに水路が細すぎてすぐに詰まってしまいます。

今回も完全に詰まって機能しておりませんでした。

 

しかも、自動車の排水口ってどれもだいたいそうなのですが、

排水口の先っぽになぜか逆流防止(?)の弁みたいなのがついておりまして、

こいつのせいですぐにゴミが堆積して詰まってしまうのです。

 

こんなもん取って捨ててしまえばいいのに、と思いますが、

一応付けたからには何かしら意味があるのでしょうから、

針金でホジホジして詰まりを解消し、きちんと流れることを確認しました。

 

パネルを掃除して綺麗スッキリ。

錆びてしまった部分はとりあえずKURE5-56を吹いておきました。

 

頻繁に水没の危機に晒されるトランスミッションコントロールユニットと、

その様子を一人安全な壁面から高みの見物といった風情のエンジンコントロールユニット。

やはりその重要度によって配置が決まってくるのでしょう。

といってもまぁ、エンジンだけ無事でもトランスミッションが壊れたら走れませんけど。

 

さて、次に、そもそもどこから水が流れ込んできたのか、それを解明しないといけません。

まず、単純に考えて一番怪しいのが幌側の排水口の詰まり。

こちらはなかなか厳重な作りになっておりまして、メインの排水口とは別系統で、

少し上のほうにもう一つ排水口があります。

 

排水口を上から見てみると、ややゴミは溜まっているもののきちんと流れており、

ここが溢れて漏れているわけではなさそうです。

と思ったら・・・・

防水シートに思いっきり大穴があいておりました。

はい、実に単純な理由でしたね。

これだけ大穴があいていれば、水もジャンジャン入ってくるってもんです。

 

というわけで、余った幌のビニル生地で穴を塞ぎます。

 

原因は矢印のコイツ。

幌を開閉するときに上下する部品が接触して穴をあけてしまうのです。

 

見てのとおりモロに金属な感じなので・・・・

 

フェルトシールを貼って当たりを穏やかにします。

潤滑用シリコンも吹いて摩擦を最小限に。

 

はい、というわけで、雨漏りがあろうとあるまいと、

この程度のことは標準工賃の範囲内でやらせていただいておりますので安心してご依頼ください。

ただ、こういうことをしているとどうしても1時間2時間は余計に時間がかかってしまいます。

あまり急かされますと「じゃあまぁ、そのままでいいや」となりかねないので、

作業当日はスケジュールに余裕を持ってお越しいただければ幸いです。

 

 

それでは、また。