ベンツ再び
こんばんは。
前回ベンツ特集でしたが、またベンツのご紹介。
R129型のSLクラスです。
幌交換作業中、盛大にお漏らし発生!
幌交換の際はどうしても頻繁に幌を動かしますので、
元々寿命間近だった個体は、とどめを刺してしまう場合があります。
が、私が悪いわけではありません。
幌交換に耐えられなかった車両が悪いのです。
健全な状態の車両であれば、
幌交換で少々動かしたくらいで漏れることはまずありません。
というわけで、気を取り直して修理していきましょう。
今回漏れていたのは2箇所です。
まずこちら、右側のメインリフトシリンダー。
幌全体を持ち上げる、一番大きくて負荷も掛かるシリンダーです。
黄色っぽく見えるのが漏れ出したオイルです。
盛大に漏れまくっておりました。
もう一つはこちら、右側のリアロックシリンダー。
こちらも滝のようにオイルが流れ出しておりました。
で、予算を抑えたいということであれば、これら2箇所だけを交換してもいいのですが、
せっかく内張を外したことだし、このように2箇所が同時にダメになっているということは、
他の部分も遅かれ早かれダメになる可能性が大です。
というわけで、今回はオーナーさんのご意向もあり、
シリンダー全てを交換させていただきました。
はい、これが交換したシリンダーです。
全部で12本あります。
一つ一つがそれぞれ狭苦しいところに付いていて、
それを12回も繰り返すのですからなかなか骨の折れる作業でした。
純正新品はとても高いので、リビルド品で交換しました。
当店では、米国の専門メーカーのリビルド品を使用しています。
基本的に内部のシールを交換するだけなのでそれほど複雑な作業というわけでもないのですが、
汎用品のそれっぽいサイズのシールで適当に修理するのと、
車種ごとに設計され、材質まで吟味されたシールを使用するのとでは、信頼性が全く異なります。
メーカー曰く、設計寿命は30年!品質は純正新品以上、
そして自称世界一のコンバーチブルトップ専門油圧シリンダー修理会社、
とのことですので、当店ではその心意気を信じてこちらの製品を採用しております。
それにしても見てください、これ、全て油圧のパイプラインです。
本数もすごいですし、この几帳面な並べ方、
ほんとこの年式のベンツのクオリティというか、設計思想は半端じゃないです。
惚れ惚れしますよ。
作った本人もたぶん自分の仕事に惚れ惚れしてたことでしょう。
片側だけでこれですからねぇ。
今回はシリンダー部分だけを全交換しましたが、
この配管接続部の一つ一つにも全てOリングが使われておりますので、
これらすべての部分において、オイル漏れが発生する可能性を秘めております。
また、ホースが劣化して漏れるというケースもあります。
膝どころか、関節という関節に爆弾を抱えまくった恐ろしいシステムなわけです。
とはいえ、シリンダーのような可動部のシールと、
配管接続部のような動きのない部分のシールとでは、負荷が全然違います。
とりあえずシリンダーさえ換えておけば、当面安心して乗れるのではないかと思います。
はい、今回は1台のみのご紹介でした。
それでは、また。