2年ぶり377回目

大変ご無沙汰しております。

 

フェラーリ・カリフォルニア 動作不良修理。

定番のキネマティクスラッチ破損です。

 

車体からキネマティクスラッチを外します。

動作不良で屋根が開かない状態で外すのは、なかなか大変です。

 

プラスチック部品が全体的に割れまくっていますね。

 

 

一番の原因はこのパーツの破損です。

ちなみにフェラーリ純正新品パーツを取り寄せても軽くひびが入っています。

最初から欠陥パーツなのですが、特に対策はされておりません。

さらに片側で25万円以上とかなり高額です。

 

というわけで、社外品の対策キットを使ってオーバーホールしていきます。

 

プラスチック製のパーツを、全て真鍮の削り出しで再現しております。

こんなものよく作るなぁと感心しますね。

 

組付け完了。

ポン付けだとちょっと動きが渋いので、多少調整が必要です。

これならもう二度と割れることはないでしょう。

無事にきちんと動作するようになりました。

ただ、金属の中では比較的柔らかい真鍮製とはいえ、

純正のプラスチックと比較するとだいぶ固いですので、

アルミ製のレールを削ってしまわないか少し心配です。

長期的に見守っていく必要がありそうです。

 

こちらはフェラーリ・カリフォルニアT。

屋根自体の構造はカリフォルニアとほぼ全く同じです。

 

油圧ホースからのオイル漏れで入庫。

 

屈曲部のホースガイドが外れてしまい、

ホースが鋭角に曲がって割れたしまったのが原因です。

 

割れてしまったホース部をカットして、別のホースを移植。

また、ホースガイドを付けなおして、外れないようにテープで補強。

 

ホース中継部には専用のホースカプラーを使います。

結構ごっついので、動作時に干渉しないように位置を慎重に検討する必要があります。

ホース丸ごと変えてもいいのですが、部品自体がとても高いのと、

各部を縫うように複雑に取り廻してあるため、かなり手間がかかってしまいます。

また、車種によってはシリンダーとホースが一体になっている場合もあります。

というわけで、作業スペースに問題がなければ、

こちらのカプラーを使って部分的に修理するほうが簡単です。

とはいえこちらのカプラーは1個1万円くらいするので、決して安くはないのですが。

 

こちらは986ボクスターのコンバーチブルトップ・トランスミッションギアです。

プラスチック製のギアが割れてしまっております。

 

こっちはバックリいってます。

 

今回は物は試しで金属製の社外品ギアに変えてみたのですが、全然ダメでした。

歯の表面処理が甘く、ウォームギアとの摺動面が噛んでしまい、

ゴゴゴゴゴゴ…と、ものすごい音がします。

また抵抗が強すぎて途中で何回も止まってしまいます。

やはりプラスチック製なのにはちゃんと理由があるのですね。

というわけでいつものプラスチック製対策ギアに交換。

 

一応、これよりも仕上げが丁寧で、

尚且つ鉄ほどは固くない真鍮製のギアも出ているのですが、

値段がかなり張ってしまうので、現状はプラスチック製がベストかなと思います。

ちなみに3Dプリンタ製は全然ダメですね。

見た目はギアらしき形をしておりますが、全然強度が足りません。

プリンタと素材の更なる進化を期待したいところです。

まぁ業務用レベルでは高強度のものもあるのかもしれませんが、

eBayなどで素人が売っているようなDIYレベルのものは全然ダメです。

 

こちらは同じく986ボクスターの幌駆動用モーター。

本来はハウジング側についているマグネットが脱落して、

ローター側に張り付いてしまっております。

ちなみにこの状態でも、ゴリゴリと異音はするものの、辛うじて動いていました。

結構適当なものなのですね。

 

本来はこっち側に貼り付けてあります。

 

というわけで強力接着剤で貼りなおします。

最近お気に入りの金属用接着剤を使用。

とにかく何でも強力にくっつくので手放せないアイテムです。

欠点は、一度硬化したら二度と剥がせないくらい強力にくっつくことくらいでしょうか。

例えばこの磁石を剥がそうとしたら、

恐らく磁石を地道に砕いていくしかないと思います。

それくらい強力なのです。

 

カニっぽい。

無事スムーズに動くようになりました。

新品交換してもいいのですが結構高いので、頑張って直す価値はあるかと思います。

ちなみにこのモーター、930カブリオレから987ボクスターまで全て共通です。

共通部品は入手性がいいので助かりますね。

 

こちらはアウディA5カブリオレの動作不良。

診断機を当てると、センサー系のエラーが出ております。

 

該当するセンサー部分です。

こちらはトラベルセンサーといい、シリンダー内のピストンの動きを検出します。

なにやら亀裂が入ってしまっておりますね。

 

めくってみると、内部のセンサーが錆びてしまっております。

サイドウィンドウの下にあるシリンダーなので、水滴が浸入してしまったのが原因ですね。

センサーは樹脂で密封されており一応防水性は考慮されておりますが、

このセンサーは配線側が上向きになる形で取り付けられているため、

配線部から水が浸入し、内部が錆びてしまったと思われます。

交換して無事に動くようになりました。

 

ホールセンサーは可動部がないため、

マイクロスイッチと比べると機械的な信頼性が高いとされているのですが、

個人的にはON/OFFがハッキリしているマイクロスイッチのほうが好きですね。

また、磁界の変化を読み取るというややアナログ的な検出方法なので、

コンピュータ側で設定されている閾値の範囲を超えるとエラーが出て停止してしまうことも多いです。

 

こちらは981/982ボクスターのマイクロスイッチ交換作業。

幌ASSYユニットの外側についているため、

幌ASSYを外して車体から引っ張り出さないと交換することが出来ません。

なんでこんなところにつけたのだろうか…

 

ちなみに、完全に車体から降ろさなくても、

このように前端部を少し持ち上げれば交換することが可能です。

とはいえ、内装や固定ボルトは全て外さないと作業できませんので、

たいして手間は変わらないのですが。

 

私の場合一人で作業していることもあり、

重量的にボディから降ろすことが不可能なので、

いつもこのような形で作業しております。

ボディから降ろすとなるとボディに傷をつける恐れもありますから、

こちらのやり方のほうが理にかなっているのではないかと思います。

 

こちらは981ボクスターのコンバーチブルトップモジュール(CTM)。

要するに幌を制御しているコンピュータです。

末尾が01番のものは特定のトラブルが発生します。

 

見た目上は特に問題はありませんでしたが特定のエラーが発生しており、

末尾02の対策品に交換したところ、きちんと動作するようになりました。

知らないとなかなかCTMの交換までいきつかないと思います。

値段もかなり高いので、一か八かで交換するのも気が引けますし。

 

こちらはフェラーリ・F430の幌交換。

自分でいうのもなんですが、360/F430系は幌交換、油圧系統、電気系統を含め、日本一詳しい自信があります。

ディーラーさんでお手上げの症状でも、ほぼ直せると思いますのでご相談ください。

 

こちらはフェラーリ・360のドアガラス調整。

純正の調整範囲の限界までやっても隙間が出来てしまいます。

 

ここの部分に細工をすると、調整範囲を超えた領域まで調整することが出来ます。

無事隙間をなくすことができました。

 

こちらはR129のパワーアンテナ修理。

幌の油圧修理ついでにご依頼いただきました。

 

伸縮モーターのON/OFFを制御しているパーツです。

コンピュータ制御なしのアナログ的な方法で制御していて、なかなか面白かったです。

 

こちらはS13シルビア コンバーチブルの油圧シリンダー。

かなり生産台数が少ない車両ということもあり、

たぶん何かの車種のシリンダーを流用しているんだろうな、と思っておりましたが、

ついに全く同じシリンダーを発見しました。

シリンダーも油圧ポンプも他車用から流用可能です。

海外では新品が普通に流通しており、割と安く交換可能ですのでご相談ください。

 

こちらはMR-Sの幌内側の防水シート。

劣化でビニルシートがパリパリに割れてしまっております。

当然雨漏りしまくりです。

 

漏れた先に何があるかというと、

トランスミッションコントローラがあるので実にたちが悪い。

水没すると変速エラーなどの不具合が発生します。

 

というわけで幌の余り生地を使用して補修します。

見えない部分なのでコーキングは機能重視で盛りまくってます。

 

こちらはR129のリヤスクリーン。

まだ張り替えるにはもったいないので磨いてみます。

 

磨き前。

後ろになんかいるな、程度にしか見えません。

 

磨き後。

くっきり見えるようになりました。

 

とあるペットショップ。

猫がいないと思ったら、

上にいました。

 

初代マセラティ・ギブリの天井補修。

ウレタンスポンジが劣化して垂れてしまっておりました。

アルカンターラの生地自体はまだかなり奇麗なので、そのまま再利用して補修します。

 

劣化したスポンジをすべて除去します。

この後再び貼り付けて修理完了。

写真は撮り忘れました。

 

こちらはフェラーリ・F430のトノカバー隙間調整。

純正新品状態でも結構いい加減なのですが、

オーナーさんがどうしても隙間の不均一と段差が気になるとのことで調整。

 

 

限界を超えた調整を行うためにスペーサーを作成。

パネル自体の歪み、ねじれもあるため完璧とはいきませんが、

オーナーさんには満足していただけました。

 

こちらはフェラーリ360のメインリフトシリンダー。

オイル漏れの修理です。

 

こちらはセカンダリシリンダー。

発生頻度としては、フロントロックシリンダーはほぼ確実。

次点でセカンダリシリンダー。

メインリフトシリンダーはたまに漏れる、という感じです。

トノカバーシリンダーは他の5本とは構造が違うこともあり、あまり漏れません。

360/F430系の各油圧シリンダーの修理承ります。

お気軽にご相談ください。

 

こちらはフェラーリ・モンディアルTカブリオレ。

幌交換で幌を剥がしたら…ボディパネルが錆びまくっておりました。

一旦板金屋さんに回して錆の処置をしてもらいます。

 

こちらはフィアット・500Cのキャンバストップ修理。

苦手意識があり避けておりましたが、一応修理対応可能となりました。

 

ただ、補修部品がめちゃめちゃ高く、車両本体の時価を上回ってしまうケースも多々あり、

よほど大切に乗っていらっしゃる方以外にはあまりお勧めできないのが現状です。

 

こちらはアストンマーチン・DB9 ボランテ?だったかな?

ガラス剥離の修理。

ついでに油圧系統の点検。

 

油圧ポンプがどこにも見当たらない…と思ったら、

タイヤハウスの内側に隠れていました。

こういう整備性の悪さがさすがスーパーカー。

ちなみにV12エンジンに6速MTという夢の組み合わせでした。

テスト走行で少し走らせてもらいましたが、トルクモリモリで楽しかったです。

重たいV12ということでフロントヘビーかなと思いましたが、

前後バランスがいいのか思ったより軽快なハンドリングでした。

あとボディの四隅が絞ってあるせいもあってか、

見た目の印象が結構コンパクトなのも好印象。

 

あとフロントロックの爪が引っかかっていたので、ステンレス板でガイドを作成。

閉まるときに「ドカン!」と衝撃音が出ておりましたが、

無事静かに閉まるようになりました。

 

ベントレー・コンチネンタルGTCの動作不良修理。

ストラップを強化品に交換。

 

ここらの骨組みの引っ掛かりが主原因。

対策を施します。

 

こちらはポルシェ・964カブリオレの動作不良修理。

「トップCLOSE」側のマイクロスイッチの位置が悪かったので調整、骨組み左右のねじれも調整しました。

こちらのスイッチについては結構勘違いしがちなのですが、

幌が閉まったかどうかの検知はフロント先端左右のスイッチで行っており、

こちらのスイッチはフロント側がきちんと作動しなかった場合に、

骨組みの動作を緊急停止させるためにあります。

つまり、普段このスイッチは全く作動しないのが正常です。

トランスミッションで増幅されたモーターのパワーは半端じゃないので、

幌が閉まっているのにモーターが回り続けると、骨組みが折れてしまいます。

 

骨組みのねじれを直したら幌が弛んでしまったのでこちらも張り直しを受け賜りました。

もう少々お待ちください。

 

R129のシリンダー修理。

分解・洗浄して各部シールを新品に交換します。

もちろんシールは汎用品ではなく、専用品を使います。

これが結構特殊なサイズでして、

近いサイズのシールは国内でも普通に手に入りますが、

漏れ防止のため必ず専用品を使うようにしましょう。

ロッドシールの他、必要に応じてピストンシールも交換します。

 

ちなみにロールスロイス・コーニッシュV、

ベントレー・アズールもR129のシリンダーを流用しております。

ただし、一部形状が違う部分もあるので、そのままポン付けはできません。

 

油圧ホースが刺さるポート部のシールも交換。

ここは特殊工具がないと外せないので、交換しないケースも多いと思います。

まぁここのシールはあまり劣化しないので、別にいいっちゃいいんですけどね。

替えておいたほうが気分はいいです。

 

劣化したロッドシール。

シリンダーからのオイル漏れのほとんどは、ロッドシールの劣化が原因です。

完全に柔軟性を失っており、外すときにボロボロと崩れ落ちてしまいます。

酷いと分解する前からすでに内部で崩壊しており、

破片がオイル内に流出してしまっているケースもあります。

そうなってしまうとポンプやソレノイドバルブにも悪影響を及ぼしますので、

漏れたら早めに修理しましょう。

 

交換したシール類。

 

こちらはアルファロメオ・スパイダー(939)のトノカバー・フラップモーター。

 

左右とも内部ギアが破損してしまっております。

こうなるとフラップが正しく動かないので、エラーが出て開閉が止まってしまいます。

こちらはスパイダーの定番故障で、かなりの頻度でぶっ壊れます。

なんでそんなに壊れやすいかというと、

このモーターは元々エアコンの送風フラップ切り替え用なのです。

外気導入とか、吹き出し口の切り替えをするやつですね。

軽いプラスチック製のフラップを動かすためのものなので、あまり強度は考慮されておりません。

 

それに対して、こちらがトノカバーのフラップです。

かなりでっかくて、作りもしっかりしていることが分かると思います。

このただでさえデカいフラップの一番端っこにモーターが付いているので、

ギアにどれだけの負荷がかかるかは容易に想像がつきますね。

 

さらに、幌を開けているときはまだいいですが、

幌を閉めた状態だとフラップはトノカバーの裏側に水平に折りたたまれ、

常に下向きの重力と振動に抗う状態になります。

結果、プラスチック製のギアは簡単に割れてしまうのです。

 

ではギアだけ交換すれば直るかというと、こちらのポテンショメータもダメになります。

ポテンショメータは、フラップの角度を検出するセンサーです。

センサー自体は信頼と安心の日本メーカー、アルプス製。

メーカーの公表値でも、100万回の動作寿命となっております。

なのになぜ、せいぜい数百回程度の開閉で壊れてしまうのかというと、

 

ギア部に塗ってあるグリースが、センサー内に入り込んでしまうのです。

センサーの周囲の基盤にベッタリとくっついているのがそうです。

 

というわけで、専用の接点復活剤で抵抗体を拭いてあげます。

ここの抵抗体はものすごーくデリケートなので、専用品の使用は絶対条件です。

市販の接点クリーナーでもだめですし、パーツクリーナーなどもってのほか。

 

実際に色々実験してオシロスコープで抵抗値の変化を検証している方がいらっしゃいましたが、

パーツクリーナーで拭いた場合は一発アウトでした。

はい、私もやったことがあります。

車屋とえいばとりあえずパーツクリーナーですからね。

 

以上、また気が向いたら更新したいと思います。