水も滴る
クロス生地はその名の通り「布」です。
日本製のオープンカーはほとんどビニル生地なので、
一体全体どんなものなのか想像がつかない方も多いでしょう。
というわけで、とりあえず濡らしてみました。
(といっても洗車中に撮影してみただけですが)
この写真は張った直後ですので、まだ少し水をはじいています。
これは撥水加工してある、というよりも、
繊維を作る過程でなんらかの目的で若干付着している油分が残っていて、
それのせいでいくらか弾いている、といった程度の感じです。
で、濡らし続けると色が濃くなっている部分のようにジットリと濡れてきます。
撥水加工しない状態で雨が降り続けると、この濃い部分のような状態になるとお考えください。
では、次にタオルでふき取ってみましょう。
なんと、びっくり。まるで全く濡れていなかったかのように元通り。
これがアクリル生地の特徴です。
綿だと繊維そのものが水分を吸ってしまいますが、
アクリル生地の場合、繊維と繊維の間に水分が入り込んでいるだけですので、
タオルでさっと拭くだけで水分が取れて元に戻ります。
ということは、汚れはどうでしょう?
汚れも同じように繊維の隙間に入り込んでいるだけですので、
綿のように繊維そのものに色がつくことはほぼありません。
ですので、汚れても洗えばたいていの汚れは綺麗になります。
体育の授業でジャージを着たことがあるかと思いますが、
あれの多くもアクリル繊維を使用しています。
泥まみれになって汚れて帰ってきても、洗濯機に突っ込んで洗えば元通り。
あの感じを想像してもらえると分かりやすいかと思います。
余談ですが昔アクリル繊維が開発されたばかりの頃、こんな苦労話があったそうです。
「すごく優れた繊維を開発したのにどうやっても染色できない!これじゃ使い物にならん!」
「染めようと思っても染められない」
言い換えれば
「汚そうと思っても汚れない」
とも考えられます。
結局アクリル繊維は、カチオン染料という、
なんだかよくわからない化学的な染色方法が開発されるまで、
服飾業界においては使い物にならなかったそうです。
とまぁこんなような特徴がありますので、
汚れに関してそれほど神経質になる必要はありません。
ご参考までに。