こんにちは。
今回はアウディA4カブリオレのご紹介です。
ちょうど2台続けて入庫いたしまして、これで合計3台の施工となります。
交換の動機は毎度おなじみのこちら・・・
欧州車の定番、ガラス剥離。
それから、
接合部の剥離。
どちらも縫わずに貼り付けてあるだけなので経年劣化で剥がれてしまいます。
作業中。
幌と中綿の接合部。
ジッパーでくっついているのですが普通のジッパーのように端部の留め具がないので糸で縫い付けます。
基本的に切ったり縫ったりはありませんが、たまにはこういうお裁縫仕事も。
なお、右はドイツからやってきたジッパー、左は米国からやってきたジッパー。
規格さえ合えば、このように違う出身地同士のジッパーもきちんと繋がります。
どうしてなかなか、感動の瞬間ですよ。
仕上がりはこちら。
以前も同じようなことを書きましたが、現在のアウディとは異なる端正な顔立ち。
品があって大変よろしいかと思います。
あくまでも控えめにわが道を行くこの頃の立ち居地が個人的には好きでした。
A4は4人乗りカブリオレとしては実にバランスのいいプロポーションだと思います。
普通のセダンに近いサイドシルエットですね。
もちろん後席も大人が無理なく座れます。
エンジンはV6としては控えめな排気量となる2.4L。
現在の欧州車はエンジンのダウンサイジングが進んでいますので、
こういったコンパクトなV6はもう出てこないかもしれませんね。
ちなみに市販車における世界最小のV6エンジンは三菱・ランサーが搭載していた1.6Lの6A10型。
当時の日本車ではV6=高級といったようなイメージ戦略がとられておりまして、
とりあえずV6にしときゃいいだろ的な風潮があったような気がします。
1.6Lという小排気量ならば効率の観点からも直4のほうが有利なのですが、そこはバブル景気。
リアに輝くV6のエンブレムはゴージャスでとてもカッコよかったのです。
当時小学生だった私もV6ブロワムVIPターボ?なんか知らんけどかっこいい!と思っておりました。
今は逆にエコ優先、ダウンサイジングの時代ですから、えー?400万も出してテンロクターボかよ!?
ってな感じで当初はずいぶんと違和感を感じましたが、最近ようやく慣れてきました。
それでもフィアットが2気筒エンジン「ツインエア」を出した時はビックリしましたが。
幌はStayfastのダークルビーです。
これの前に作業したA4は厚みのあるGermanA5なので少々伸びにくかったですが、
それと比べるとStayfastは伸びがよく、とても張り易いです。
こちらが少々伸びにくかったGermanA5のブラック。
純正と同じ黒でシックにまとめました。
渋みのある光沢感がGermanA5の特徴。
光沢と言ってもテカテカの光沢ではなく、高級礼服のような深い光沢。
なんとなくわかりますでしょうか?
なお、幌のシステム開発はドイツ・カルマン社の手によるものです。
高田工業やトヨタテクノクラフトと同じような、いわゆる自動車架装会社。
フォルクスワーゲン・カルマンギアで有名ですね。
ガラスと接合部が剥がれるという致命的な欠点がありますが、
開閉機構自体は恐ろしいほどに洗練されており、
これ以上の素晴らしいシステムは今までに見たことが有りません。
質実剛健かつ合理的で確実な設計。
こういった点に関して言うと日本車の場合、
浅い歴史とそもそもの絶対数が少ないこともあってか、今のところ洗練度が今ひとつな印象です。
ディーラーさんなどでも扱いに慣れておらずASSY交換になるケースが多いので、
結果としてメーカーへのフィードバックもままならず、
対策・改善・ノウハウの蓄積が進まないのが現状かと思われます。
また、動力源に関して言うと欧州車はほとんどが油圧ポンプを用いているのに対して、
日本車の場合は複数の電気モーターを組み合わせたものが中心となっています。
電気モーター駆動のほうが比較的簡単・省スペースに作れる反面、
過大な負荷がかかった場合にモーターが焼きつきやすく、
特にZ33あたりですとモーターのトラブルは日常茶飯事です。(明らかに容量が足りない)
その点、油圧は過負荷がかかってもポンプが空回りするだけなので動力系に悪影響を与えません。
が、しかし・・・ある程度年数が経つと大抵作動油が漏れる・・・。
結局、油圧だろうが電気モーターだろうが、どっちみち壊れます。
というわけで、少々強引な締めくくりですが結論としては手動が一番、ということで。